ゼロデッサンクラブ

東京都・中野区で人物画や石膏デッサンの講座を行っている「ゼロデッサンクラブ」のブログです。東京藝大・大学院修了の講師が基礎から丁寧に指導します。Plaster cast&human figure drawing school in TOKYO,JAPAN

講師コラム:デッサン力とは?

講師の浅野先生がゼロデッサンクラブの為だけに書き下ろして下さったスペシャルコラム。デッサンを上達させる為のヒントが満載!独占公開中です!☆お見逃しなく!

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 デッサン力がある人ってどんな人?

基礎がしっかりしてる人。

ではデッサンの基礎ってなあに?

 

デッサンに限らず基礎力とは全体を把握し、その先をイメージする力だと思っています。

 

小学1年生の頃、ひらがなを練習しました。

一生懸命練習しても先生のようには上手く書けずアンバランスなヘタクソな字になってしまいます。

「あ」や「お」や「ね」や「ぬ」、「そ」などは迷路のように複雑に見えてとても難しかった。

手本を見ながら鉛筆の先をしっかり見て書いても出来上がりは酷い文字。何故なのでしょう?

みなさんは今、文字を書く時、何処を見ていますか?

いちいちそんな事を気にして文字を書いている人は少ないと思います。

実は頭の中で、書く文字の全体感をイメージしてゴールに向かって鉛筆を動かしているのです。

「あ」でも「お」でも最後の書き終わり,完成形に向かって書いています。

未熟なときは鉛筆の先端ばかりに気がいってしまう。

 

デッサンも同じです。見たモノやこれから自分が描く形の全体感を把握して完成に向かって鉛筆や木炭を動かしていく事が重要です。

 

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人物デッサンをしていて顔や肩まではしっかり描けているのに足の方は白紙のままという人がよくいます。

「足は描かないんですか?」と尋ねると

「時間が無かったから」と答えるのです。

でも最初から今日は何時に終わるのかは知っているはずです。

自分の力量ももちろん把握しているはずです。

その上で最初は足まで入れる気持ちで構図をとったはずなのです。

でも途中で顔を描く事に夢中になって最初の計画や思いをすっかり考えなくなってしまっている。

 

デッサン力とはモノを描く力ではなく、絵を描く力です。すなわち画面を構築する力。

いくら顔が上手に描けていたとしても構図が悪ければ絵にはなっていない。

ここは(描いてないところ)見ないで!ここだけ(上手く描けたところ)見て!なんて事にならないように。

 

新しいブラウスを買って初めての休日、約束の時間は分ってる。シャワーを浴びて、髪をセットして、いくら上手にお化粧をしても時間が無かったからといってパンツ一丁で待ち合わせ場所には行かないでしょ?

ここは見ないで!ここだけ見て!なんて無理なんですから。